磯野くんと花沢さん
「はぁ~」
またため息。
一つ思い切り吐き出して、教室に入った。
「おはよう」
私は、私が居るべく位置につく。
ここは[島]なんだと思う。
教室という名の海に浮かぶ島。
大きな島もあれば、小さい島もある。中には鎖国を実践中の島も。
どの島に属するのか。
煩わしいと思うけど、特に女子国って、隣国を牽制しあってるから大変なんだ。
「おはよ道子、今日、体育館だって」
「晴れてんのに?」
「テニス部に取られたみたい」
プーと頬を膨らませるのは、親友であり、部活友であり、同じ島に住んでいる、真壁京子。
「テニス部、こないだ優勝したもんね」
「道子、私たちバレー部も負けてはいられないわ‼」
スポ根みたく熱い。それが京子。
ついつい乗せられて、あのアタックはどうとか、魔球のサーブを打ちたいだとか話していると。
「おい花沢‼昨日も磯野に振られたな‼」