幸せまでの距離

星崎家を出てメイを探し回ってい たマナとメグルだったが、二人の アテはことごとく外れてしまっ た。

有力候補だったメグルの家にもメ イは居なかったし、リョウの墓に も足を運んだが彼女の姿はなかっ た。

二人は、別行動しているミズキや リクとマメに連絡を取り合ってい たが、1時間ほど探しても見つか らなかったので、一同はとうとう 解散する流れとなった。

「メイちゃん、メグルちゃんちに も居なかった……」

マナが電話で報告をすると、ミズ キはこう言った。

『二人とも、ありがとう。

でも、もう時間も時間だから、マ ナとメグルちゃんは家に帰っ て?』

「私なら大丈夫だよ!

まだ行ってない場所あるから、こ れから探しに行くつもり」

マナは語気を強めてそう言った が、ミズキは申し訳なさそうな声 で、

『マナ、ありがとう。

そうやって言ってくれて、すごく 嬉しい。

でも、もうすぐ明日になっちゃう し、メグルちゃんも仕事の後で探 し回って疲れてると思うか ら……。

いま、みんなに連絡してるとこな の。

一旦、家に帰ってもらいたく て……』

「そうだね、メグルちゃんは仕事 帰りに来てくれてたんだもんね」

マナが隣にいるメグルを横目で見 やると、普段元気全開な横顔はや や疲れて見えた。

「それなら、私だけでも探す!

このままメイちゃんを一人にして たら、危ないよ……」

このまま帰る気のなかったマナは 食い下がったが、

『シュン君がバイトでいない以 上、こんな時間にマナを一人で出 歩かせるわけにはいかないよ。

マナにもしものことがあったら、 私……。

メイのことも心配だけど、マナの ことも危ない目にあわせたくない の……』

そう言われてしまうと、マナもそ れ以上メイを探すとは言えなく なってしまった。

どんな形であれ、ミズキは身近な 人を失うことを無意識レベルで恐 れている。

マナはその気持ちを痛いくらい理 解していたので、メイを探したい と思いつつ、自宅に帰ることにし たのだった……。
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