幸せまでの距離

「次、行くよ」

無愛想な表情で冷たくメグルに声 をかけたのは、メイと同じ専門学 校に通うカナデだった。

カナデも、夜のネオンに負けない 輝かしいドレスを身にまとってい る。

メグルはカナデに命令されている ようで、反抗もせず、おとなしく カナデについていく。

“何であいつがメグルといる の!?”

カナデの口調や顔つきを見て、メ イは目を疑った。

メグルがここにいることも驚きだ が、今のカナデの様子は、学校で メイに見せているものとずいぶん 違う。

二重人格なのかと言いたくなる表 情や口調。

メイに対して陰険な嫌がらせをし ながらも猫をかぶって本音を見せ ないカナデだとは思えない。

なぜ彼女が、メグルと関わってい るのだろう。

疑問は尽きないが、カナデに連れ ていかれるメグルを見て嫌な予感 がしたメイは、考えるより先に茂 みを飛び出していた。

「メグル……!!」

静かさを取り戻した夜の歩道に、 メイの声は大きく響く。

メイの声に振り向いた二人は、そ れぞれの思考で目を見開いた。

突然居なくなったメイがここに現 れた驚きと喜びで声をつまらせる メグル。

クラスメートがメグルの知り合い だったということに驚き固まるカ ナデ。
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