幸せまでの距離

「メイ、今夜はウチに泊まりな よ。

ミズキちゃんには連絡したから。

あと、マナちゃんとリク君にも メールしたよ。

みんな、すっごい心配してたか ら……」

メイを連れてタクシーで自宅に 戻ったメグルは、風呂上がりの髪 をタオルで拭きつつ、自室の扉を 閉め、深刻な口調でそう言った。

「……ミズキちゃん、心配してた よ。

リク君も……」

「……そう」

メグルより先に風呂を済ませてい たメイはベッドにもたれ、ドライ ヤーで乾かしたばかりの髪を指に まきつけ、うつむいている。

自分のことより、今はメグルのこ とを問い詰めたい気分だった。

なぜ、あんな時間にあんなところ でカナデと行動していたのだろ う?

だが、色々尋ねたい気持ちはメグ ルも同じだった。

メグルはメイの前に座ると、楽天 的な彼女らしくない真面目な顔 で、

「メイ。ちゃんと話して。

たまたまあそこにあたしが居たか ら良かったけど、みんな心配して メイのこと探してたんだよ。

書き置きもせず、ケータイの電源 まで切って……。

どういうつもり?」

「…………」

メイは言葉に詰まる。
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