幸せまでの距離

メイは自分のことを深く話したが らないクセのようなものがある。

メグルもそれを理解しているつも りだったので、いつものようにあ いまいにスルーしようと思えば出 来なくもなかったが、今回だけは 別。

急に居なくなったメイを見て、他 のメンバーだけでなく、メグル も、不穏な何かを感じていたの だ。

姿を消す直前、メイは人知れず自 室で暴れていた。

ただ事ではない。

何か大きな……悪いことの予兆に も感じてならなかった。

メグルが、メイを見つけたという 連絡をすると、ミズキは喜んでい たし、マナからも即返信が来た が、いまだにリクからは来ていな い。

それがさらに、メイとリクの間に ある溝を浮き彫りにしているよう に感じた。

メグルはゆっくり、諭すように 言った。

「メイにも、理由があったんだよ ね。

じゃなきゃ、一人で出ていくなん てしないだろうし。

それは分かってるけど……」

「…………」

メイはうつむいたままで聞いてい るのかどうか分からないが、メグ ルは続けた。

「リク君が、大学の女友達が困っ てるところに駆け付けたから?」

「……そんなことは関係ない。

あいつはそういうヤツだからね」

「なら、何で?

……リク君、あんなにメイのこと 心配してたのに、メールも返して くれない……」

あんなにメイを心配していたとい うのに、メイが見つかったという メールに何の反応も返してくれな いリク。

黙ったまま何も言わないメイ。

メグルはその両方に焦(じ)れ た。
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