幸せまでの距離
第2話《二人の違い》
少し口うるさいけれど料理上手な母親と、学歴のある父親に育てられたリク。
毎日暴言を浴びせてくる母親と、娘のワガママを何でも聞いてくれる父親に育てられたメイ。
人として生まれてきた以上、
身の回りにお金や食べ物があるのは当然だという認識を持ち、毎晩清潔な寝具に包まれて眠っていたリク。
人として生まれてきた以上、
いつ貧困に陥(おちい)って餓死(がし)してもおかしくない、と、常に最悪の状況を想定しながら、かび臭い部屋で身を震わせていたメイ。
笑顔の母親が作った手料理を、息子の教育に熱心な父親が食すという風景を、当たり前のものだと思っていたリク。
娘に無関心でヒステリックな母親と、娘をかばう仕事人間の父親のケンカを見るたびに、傷を重ねてきたメイ。