ちび×ひめ Ⅰ
守るすべも知らないあたしは、それらから必死で逃げるか、避けるしかない。
だが、あまりにも普通に妖が見えてしまうため、妖と人の区別がつかないことが多々あった。
今でも時々そういうことがあり、その度に妖たちに襲われる。
この気配も、おそらくそういう感じのものだろう。
見てはいけない。
目を合わせてもいけない。
ひたすら無視に限る。
けど――この嫌な感じがきている方には木蓮の木の木陰の下に女性・・・・・・。
――人間・・・・・・だよね・・・・・・? でもこの、嫌な感じは・・・・・・。
女性は、制服ではなく白の七十番の上に薄紅色の長襦袢、薄黄色の帯に赤い帯どめの着物姿。
見るからに、うちの学校の生徒ではない。
薄く気味の悪い笑いを浮かべ、着物姿の女性はじっとあたしの方に視線を向けている。
今にも襲ってきそうな感じだ。
. .
直感がそう言ってる。
今すぐにでもここから離れろ、と。
離れないと、海ちゃん、茉耶ちゃんに危害が及んでしまう。
辛辣な表情になってるあたしに、二人は、
「どうしたの? ぽぷら。顔が青いわよ」
「ホントだ。ぽぷらちゃん、大丈夫?」
すでに言い合いをやめていた海ちゃんたちは、あたしを心配するが、即あたしは切り返す。
「んーん、大丈夫!!」
「本当に?」
「うん。大丈夫だから心配しないで? 海ちゃん」
「・・・・・・具合悪そうだけど、ぽぷらちゃんがそう言うなら。だけど、無理はしちゃダメだよ?」
「ありがとう。茉耶ちゃん」
――二人を巻き込みたくない!! 巻き込んじゃダメだ。
心配してくれる二人には申し訳ない気持ちと同時に、本当に嬉しかった。
あたしの周りには、今までこんなに心配してくれる人はいなかった。ただ一人、兄を除いて。