ちび×ひめ Ⅰ
だからほんの些細な幸せが、嬉しくて、くすぐったくて心地いい。
守りたい。守らなくちゃいけないんだ。
「ぽぷら?」
あたしは顔を引き締め、目で着物姿の女に訴えた。
〈目的はあたしでしょ、ならついてこい! 追いかけてきなさい〉
女にそれが通じたのか、ニヤリと不気味な笑みを浮かべる。
かかってきた!!
「ごめん、海ちゃん、茉耶ちゃん。あたし、用事を思いだしたから、先に行ってて!」
「え?」
二人の返事も聞かずに、後ろを振り返り走り出す。
「ぽ、ぽぷらちゃん!?」
「入学式までには行くから」
振りむかずに、後ろに向かって叫んだ。