ちび×ひめ Ⅰ
【第一香】

‡1・始業式





『うわぁー小せー』

『なんで小学生が!? 飛び級か!?』

『いや、日本に飛び級制度なんかねーだろ?』

『でも、小ちゃっくて可愛い~』

『誰かの子供!?』

周りからそんな言葉が飛び交う中、

千堂院 ぽぷら(センドウイン-)は掲示板の前で悪戦苦闘中です。


なんで悪戦苦闘中か。ってそれは掲示板に新学年のクラス発表が張り出されていて、

目の前にあたしよりも背の高い人たちが前にいるからですよ…。



視力はそんなに悪くないんだけど・・・・・・こんな掲示板から数m離れた所からでは、掲示板を見ることができない。


掲示板の前には沢山の人だかりがいて、右を見ても、左を見ても、前を見ても背の高い人ばかりで、あたしが背伸びをしても見ることができない。


生徒たち皆が見終わるまで待つしかないかな、こりゃ~。



こういうときはいつだってそう。

自分で言うのもムカつくが、小さいあたしはそうだ。

自分で小さいって言って、我ながらため息が出る。


身長140cmしかない体は、何かと不便だ。

高いところは届かないし、人に助けてもらわないと無理だ。

最も不便かつムカつくことは子供扱いされること、馬鹿にされることだ。



友達とファミレスというところに行くと、必ずキャラクター付きの5歳児が使うような小皿を出され、フォークとスプーン付きだ。

『あたしは小学生か!!』と言いたくなる。しかもだ。

制服を着ているのにだ。高校制服だったら高校生だとわかるはずなのに何故皆気付かない!?実に腹立たしいことこの上ない。

顔だってそれなりの年相応の顔立ちをしているはず…たぶん。

なのに子供扱いとか酷い。泣きたくなってくる。



そう言えば、昔――・・・、

親に『お前はロリコンの男を捕まえてこい。その方が確実だ』と言ってたなあ。

確実って何がよってツッコミたかった。しかもロリコンって…。


それが親の言うことなのかと自分の親を疑いたくなったよ。

しかも、当時あたしは、まだ5歳児だった。

懐かしみを噛み締めるあたしは、次々と苦痛になることを頭に思い浮かんだ。

春は確か・・・・・・ああ、アレがあった。


はぁ、と深いため息をつき、先と昔のことを双方のことを考える。


春―――新入生の入学式を終えて1週間後の全校身体体力測定には苦痛をしいられ、毎年、気が重くなるばかり。

これさえなければ、春が一番好きなんだけどなぁ。


確か、去年身長をはかった時は140cm止まりだった。

今年は絶対伸びてるはず!! だと私は願いたい。






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