【完】三つ子のヤクザと狼娘 巻ノ弐






 私は奏太さんに背を向けた。




「…幸せになって…」





 それだけ言うのが精一杯で。




 これ以上言ったら泣いちゃいそうで。





「待てよ、花蓮!!」





 名前を呼ばれて立ち止まってしまうのは





 まだ奏太さんのことを信じているからかな?




 まだ、奏太さんが百合さんより私を




 愛してくれてるって信じたかったからかもしれない。





 或いは―――そう信じなければ



 自分が自分じゃなくなってしまいそうだったから?




 自分を守るため?




< 165 / 286 >

この作品をシェア

pagetop