【完】三つ子のヤクザと狼娘 巻ノ弐
私は奏太さんに背を向けた。
「…幸せになって…」
それだけ言うのが精一杯で。
これ以上言ったら泣いちゃいそうで。
「待てよ、花蓮!!」
名前を呼ばれて立ち止まってしまうのは
まだ奏太さんのことを信じているからかな?
まだ、奏太さんが百合さんより私を
愛してくれてるって信じたかったからかもしれない。
或いは―――そう信じなければ
自分が自分じゃなくなってしまいそうだったから?
自分を守るため?