君の涙にキスを ~燐&蓮編~
「もう、気を遣わなくていいのに。」
「いいの、いいの。俺が持ってきたかっただけだし。」
「そう?ありがとう・・・ほら、皆。ケーキは冷蔵庫に仕舞って休憩の時に食べましょう。」
麻子さんが困ったように笑いながらそう言うと
みんな「は~い」と返事をして、早々に仕事に戻った。
「あ。優月ちゃん達、先に病室入ってるわよ。」
「マジで?」
病室の方を一瞥すると、そっちの方から笑い声が小さく聞こえた。
「皆が来てくれるお陰で、雪兎君の表情が明るくなってきたのよ。」
そういう麻子さんの顔は、まるで本当のお姉さんのように
優しい笑顔を浮かべていた。