君の涙にキスを ~燐&蓮編~
そうだ。

今朝は、黒尽くめのバケモノ・・・俺達の同胞は

そこには居なかったはず。

だったらいつ、彼女は知ったのか。


「・・・・雪兎君が病室を抜け出した、満月の夜。公園で・・・」

暫く沈黙が続いた後、小さな声で答えた。


公園――――あの時、麻子さんがあの場所に居た。

あれは、夏休みに入る前の出来事で

あれから3週間近くになるじゃないか。


そんな前から、気が付いてた?

なのに、俺達にそんな素振りも見せず

いつも通りに接してくれてた?


「あ、あのね。もうなったら聞いちゃうけど・・・優月ちゃんって死神?」

え――――?死神?

「・・・なんで?」

「だって、あの時。大きな三日月の鎌を持ってたし、今朝だって燐君、狼の姿になってたし・・・」

あはは・・・それで、死神。

看護師ならでは、の発想かな?
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