君の涙にキスを ~燐&蓮編~
「虜?」
「そう。それに血を吸うと相手の心も読めちゃうし―――」
「心まで・・・」
怖くなっちゃったかな?
そりゃそうだよね。今までの自分が変わってしまうかも知れないんだから。
まぁ、その前に俺がヴァンパイアって聞いた時点で
驚いて欲しかったけど―――
でも、麻子さんから出た次の言葉で
逆に俺が驚いて声が出せなかった。
「なら、大丈夫。私、もう十分燐君の虜だから――――」
真っ赤にしながら、俺の首に両腕を絡ませる麻子さん。
「え?嘘・・・」
「試してみる?」
それはさっき、俺が言った言葉と同じものなのに
彼女が言うと、とても違うものに聞こえる。
それに今の彼女は“女”の顔をしていて、とても魅惑的だ。