君の涙にキスを ~燐&蓮編~
ダンッ―――――

「お前、本気なのか?!」

蓮が俺の襟元を持って、壁に叩きつける。



麻子の部屋から、狼の姿になって屋敷に戻ってきた。

そして、一直線に蓮の部屋に入り一言。

「澪との婚約、解消するから。」

「バカか?」

「俺、麻子が好きなんだ。だから――――」

俺がそう言った瞬間、いつもはクールな蓮の表情が一変した。


「麻子って、あの看護師だろ?人間じゃないか?!」

「だから?俺達、人間の血が混じった混血だよ。人間を好きになってもいいだろ?」

「だからって、お前には蒼井がいるだろう?!」


兄貴が熱くなる中、俺は不思議と冷静になれていた。

俺の身体から仄かに麻子の香りがする。

まるで包まれているような・・・だからかな。
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