君の涙にキスを ~燐&蓮編~
俺の言葉に納得がいかないのか

俯いたまま、フルフルと首を左右に振る。

「ヴァンパイアだって、人間だって関係ない。
 傷が出来れば、痛みだってあるでしょう?苦しみもあるでしょう?」

「麻子・・・」

「私・・・燐がこの間みたいな傷を負って、どこかで倒れてたら
 とか考えたら、胸が張裂けそうで・・・苦しくて・・・
 お願い、無茶しないで・・・。」


まるで泣きそうな顔をして、俺を見上げて来る。

いつもは気丈に、病院で治療にあたってるのに。

こんなにも俺の事を考えてくれてる。


でも泣かれると、困る。

どうしたらいいか分からないんだ。


だから―――――――

俺は、今にも零れそうなくらい瞳に溜った涙を

拭う様に、目尻にキスをした。

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