君の涙にキスを ~燐&蓮編~
「麻子、ヴァンパイアの血を飲むって事は簡単な事じゃないんだ。」

「どうなるの?」

麻子の顔が強張って行くのが分かる。

少しでも落ちつけたくて、麻子の手をギュッと握り締める。


「人間が飲んだら、寿命が延びるんだ。100年か500年か分からないけど。
 そうなれば、麻子は人間とはもう深くかかわる事は出来ない。
 姿は、今のまま年を取らないんだから。今の仲のいい人達と
 分かれなくちゃいけないんだ。それでも、麻子は俺との間に子供欲しい?」

麻子の答えが怖くて、俯き目を閉じた。

そんな俺をみて、麻子がフッと笑ったような気がして顔を上げた。

「バカね。」

「え、でも・・・。」

「燐が真剣な顔して言うから、苦痛があるとか、死んじゃうとかそんな事を想像したじゃない。」

そう苦笑しながら、俺の背中を擦っていた。


「私には、もう家族はいないの。だから燐が傍にいてくれてら、私何も要らない。」

そっと俺の頬に片手を添えて、チュッと触れるだけのキスをした。


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