きのこうどん

【灰色の駅】

学園は郊外の片田舎にあった。ボクの家は街の真ん中にあるので通学は1時間ほどかかる。
 
もう本当に田舎で、学校から駅まで歩いている途中でさえも歩道以外は緑色。
 
学校の一番近くの駅っていうのが、駅員さんがたった1人しかいない駅でまるで、学芸会用のセットみたいに見える。
 
一見、ダンボール作られたかのような貧相なつくりは、ずいぶん昔に塗られたペンキで、ものの見事にはげ灰色じみていた。
 
再来年には建て直しが決まっているせいか修理する様子もなくどこからか埃っぽい古びた臭いがしてきた。
 
たぶんここを一言で言い表すのなら『屋根のある外』で、

こんな場所にクーラーなんてものがあるはずもなく、どんなに心が廃れている学生でも一日中こんなところにいれば駅員さんに「お疲れ様です」と言いたくなるだろう。
 
椅子は比較的きれいだが駅の待合室は10人もいれば満員になるくらい狭く、壁は所々茶色になり割れていて草木が生えている。
 
意外なことに駅の規模の割には電車の本数は多く、ボクが降りる駅までの電車は一時間に一本は必ずやって来た。
 
時間も調べてなかったのでとりあえずその待合室にある席に座り電車が来るのを待つことにした。
 
最悪一時間も待てばやってくるだろう。
 
周囲を見渡し席を探す。他に待合室にいたのは2組の母子だけ。
 
3、4歳児くらいだろうか。
男の子と、女の子が仲良く遊んでいた。
 
「みーくん早く!」
 
女の子は男の子をせかし笑顔がそこら中にこぼれている。


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