きのこうどん
当時のボクには彼女以外一緒に遊ぶ友達がいなかった。
 
近所には子どもがいないく、通っていた保育園は午後4時になると迎えがやってきていつも一番に帰ることになる。
 
迎えは園の近くに住んでいる父方の祖父母の役目で8時過ぎくらいまでは祖母の家に世話になっていた。
 
大体はこの後、その家で一人遊んで過ごした。
 
家にいてもつまらないので保育園にまだいたいと駄々をこねた日もあったけど祖父母はいつも一番に迎えに来てくれていた。
 
保育園が終わった後、近所に住んでいる友達が遊びに来ることもあったけど父方の祖父母は子どもが嫌いだったらしくボクが他の子と遊ぶのをあまりいい顔をしなかった。
 
車通りが激しいから家を出るなだの
もう遅いから駄目だの
ウチはウチだの
なんだかんだと理由をつけてあまり外出させてもらえないのが現状でずっと家にいた印象が強い。
そのためなのか、いつの間にか同世代の中でゲームが誰よりもうまくなっていた。
 
夕方迎えに来るはずの母さんも父さんも仕事に忙しく、迎えにやってくる頃はボクがもう時間だった。
 
やっと寝たのに瞼の重いボクを起こす。 
眠たいのに無理やり連れてかれるこの時間が一番嫌いだった。

両親が嫌いだったわけじゃない。
祖父母が嫌だったわけじゃない。
友達が苦手だったわけでもない。
 
ただ、誰かと一緒にいるのに一緒にいる感覚がなくて、時間がなくて、楽しいなんて思えなかった。
 
そんな中、母親の友達が連れてくるちこ。
 
誰にも文句を言われずに会え、一緒に遊べる関係。
 
彼女はボクにとって最高の存在だったんだ。
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