きのこうどん
父さんのうんこは長い。
 
「家を出るギリギリに。ほんといっつも…。」
 
怒りの原因は出発しようと思った時に出れないことで、
 
「えぇ?またぁ?」
 
ボクも父さんのうんこタイムで待たされるのが、かなり嫌だった。

父さんの用事も終わりやっと出発する。
 
昨年まで使っていたボクのチャイルドシートに紫苑が乗っている姿は少しぶかぶかであまり意味がないように見えた。
 
「紫苑、サイズ合わないね。」
 
祖父の実家に着くまで2時間程。ボクらは車の中で会話を続けた。学校のこと、友達のこといろいろ。
 
普段、なかなか一緒にいてくれない両親といるのはそれなりに楽しかったし、なにより、ちこが来るってので心が高揚しているボクは
何か言わずにはいられない。
 
「ねぇ、お父さんしりとりしよ!」
 
園児の頃からの習慣で車での移動時はよくしりとりをして遊んだ。
 
手元に置いてある携帯ゲームをしていてもよかったのだけどボクは酔い易く、いつの間にか車内でのゲームは禁止になった。
 
でも、あんな狭い空間でじっとしているのもつらい。
 
「意識を他に向ければ酔わないぞ。」
 
と教えられたボクはしりとりという遊びに
行き着いたわけだ。それでも酔うときは酔うのだから車は大嫌いだ。

「ねぇ、お父さん。何で紫苑の名前、シオンにしたの?」
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