きのこうどん
しりとりも飽きてきた頃、ボクは普段思っている不満を両親に言った。
 
紫苑が生まれてから4か月経った夏だというのに未だに、改名が出来ないかと考えている兄。
 
赤ちゃんが生まれるって知ったときボクもかっこいい名前をつけてやろうとものすごく考えたのにまるっきり聞き入れてもらえなかったことが原因だ。
 
「絶対、うるとらまんがよかったって!」
 
「秋原うるとらまん」
 
シュミュレーションしまくったその名前はボクの中ではピッタリでそれ以上のものはないって思ってた。
 
「ほらぁ、紫苑のこの髪見てよ。そっくりやん!」
 
跳ね上がった彼の薄い毛の髪形を見てそう言った。この年齢のときの自分の憧れや影響がよくわかる。ボクの意見に対して母の答えはこうだ。
 
「シオンの理由?響きがいいじゃない?」
 
だと。
両親が紫苑って名前を付けたのはボクと似たような理由だったから余計に不満でしつこく
問いただしたのかも知れない。
 
「絶対ににうるとらまんがよかったって!」
 
秋原うるとらまん。うん。響きがいい。
 
ちなみに紫苑ってのはふんわりとした黄色の中心を囲うように多数の淡紫色の花びらが付いている植物だ。
 
色は種類にもよるけど、山上じいちゃんも裏庭で植えてたのはよく覚えている。

「じゃあ、ボクの名前は何で明人なの?」
 
この質問をするといつも決まって同じ回答がなされる。父さんに代わって母さんが説明してくれた。
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