きのこうどん
「あなたの名前考えるときはね、すごく考えたのよ。」
 
「ふ~ん?」
 
「明人のアキはね、明王の『明』って字なんだよ?」
 
「みょう?」
 
「常に心を正しくまっすぐに生きていてくれますようにってつけたの。だからウソつきになっちゃだめよ?」
 
「そっか。わかった。」
 
こうやってボクは自分の名前に与えられた願いの意味を知った。
 
常に心は正しく。
 
そんな意味があるらしい。 
 
景色は時間とともに街から長い時間をかけ山の高台へと姿を変えて行った。
 
「昔に来たみたいだね!」

あたりの様子からボクは母さんに言った。

ここは山上じいちゃんの家から山を一つ越えた場所にある山麓の村。
 
山々の間を削ってつくられた小さな村で平らな場所は整地した田畑が目立ち家々は少し高台の場所に建てられている。
 
長い月日により色が変わったのかこげ茶色を通り越したかやぶき屋根の家が多い。そんな村へと車は進んでゆく。
 
ところどころには瓦の家のあって瓦の重さに負けた空家が崩壊しているものさえ見れた。
 
探検する場所が多そうでドキドキする。僕は車から見える景色を眼で追っていた。
 
そう言えば、村に入ってからここまで来るのに人を一人も見ていない。
< 33 / 92 >

この作品をシェア

pagetop