きのこうどん
すると目的地に着く直前にいつも山上じいちゃん家に来ている野菜売りのばあちゃんが歩いている姿が見えた。
 
「山ばぁ!」
 
山ばぁは、今時珍しく頭には手ぬぐい、服はもんぺと、 いったいどこで入手してきたのか不思議なくらい古風な服装のおばあちゃんだ。
 
自分のことを「ばぁ」と言い、顔はしわしわで。手はごつごつで。
 
ボクを見るといつも
 
「あんれぇまぁ、おおきゅうなって。」
 
って高い声で決まり文句を言う人。
 
丸い背中でリヤカーを引く姿が妙に似合い背も小学生だったボクより少し大きい程度の小さなおばあちゃま。
 
「あんれぇ?まぁこんなとこまでよう来なすった。」
 
やっぱり山ばぁだ。
 
「こんにちは。山ばあちゃん。」
 
母さんがあいさつした。

適当にボクも挨拶をすると、山ばぁはとりあえず家の方へ行くようにと言いいその場を去った。
 
少し近所の人と話をしてくるそうだ。
 
「ねぇ、今日泊まるのって山ばぁの家?」

山ばぁは、じいちゃんの姉ちゃんで、このときはじめて山ばぁが親戚なんだって知った。
 
「そうよ。山ばぁの家はじいちゃんが昔住んでいた家よ。」
 
このとき意外にも驚いたことは山ばぁが親戚であることよりもおじいちゃんやおばあちゃんの間に年上だとか年下だとか言う年齢の概念が存在しているってことだった。
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