きのこうどん
「兄ぃ、山上じいちゃん来てるぞ?」
 
父さんがじいちゃんの車を指しながらボクに言ってきた。
 
「うん。」

それからボクらはみんなで荷物を部屋まで運んだ。

「よいしょっと。」

荷物は最初、大広間まで運んで行った。
 
家の中は昔話で見たことがあるような作りでタイムスリップしたかのように懐かしい雰囲気を出している。好奇心と探究心が同時に芽生え、見るもの全てが新鮮に映った。

「あぁ、すごいよ。これ。」

荒縄に漬物石、昔話でしか見たことないセットの数々に興奮が収まらない。

ボクらの声が聞こえたのか大広間にいた山上じいちゃんと山上ばあちゃんが出てきた。

「おぉ、アキ大きくなったな!」
 
「先週も山上じいちゃん家に行ったやん。」
 
いつも、こんな感じなので勝手にじいちゃんはかわいそうにボケてるんだななんて解釈していた。
 
母さんを見ると山上ばあちゃんは言う。
 
「英子、今日は畑に行くんか?」

「琉璃が来たら一緒に行くわ。もうすぐ着くって言ってたし。」
 
琉璃ってのはちこの母さん。
 
今日来た目的はもう、夏休みも終わりかけていたので収穫しきっていない余ったのとうもろこしを採ってしまうことがメインだった。

一通り、家の中を見て回った後ちこ達がやってくるまでボクらは大広間で待っていることにした。
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