きのこうどん
２時間くらい車に揺られていたので本当はトイレに行きたかったんだけど彼女をどうしても迎え入れたくて我慢してた。
　
「兄ぃ、トイレ行って来なさいよ？」
　
と、母さんに注意されるが、ボクは断固として拒否。
　
「ちこが来たら行く。」
　
「…全く。」
　
それから数分もたたないうちに
　　
「こんにちは！」
　
と、聞き覚えのある元気のいい女の子の声が聞こえてきた。
　
「ちこだ！」
　
ボクはちこを迎えに玄関の方へと走る。走る。走る。それも、全力で。

久しぶりに会うちこ。年数にすると子どもの日以来だから三か月ちょい。
　
久しぶりと言うのもそうだけど田舎の家という背景で会うちこはいつもと違う雰囲気の人に見えて新鮮だった。
　
「こんにちは！」
「アキト君！」
「あら、アキちゃん久しぶり。」
　
来てたのはちこと琉璃さんだけ。ボクを睨みつけたちこの父ちゃんはいない。

「おいでよ。中を探検しよ！」
　
そう言って彼女の手を握り、ボクらは田舎の大きな家の中を探検した。
　
さっきまで静かだった家も急に活気を取り戻したかのように明かりがつく。
　
バタバタバタバタと古い家の中、足音が響きわたる。
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