きのこうどん
「何で?」
 
「だってここ、迷路だもん。怖い。」
 
そう言ってボクのシャツをつかんだ。
 
「…。」
 
彼女はそのまま俯き
手をぎゅっと握りしめ黙ってしまった。
 
「ちこ?ちこ?」
 
なんだかその姿に
ドキドキしてボクは深いため息をついた。
 
「大丈夫だよ。ほら、そこにみんないるし。一緒に探そうよ。」
 
すると彼女は顔をあげて
 
「そこにいてくれる?そこにいる?」
 
って何度も何度も念を押す。
彼女が何でこんなに真剣になっているのか
分からなくて、かわいいやら、おかしいやら。
ボクは笑みを浮かべながら答えた。
 
「ん。わかったよ。近くにいるから。」

畑に生っているものは
とうもろこしの他に
キュウリにトマトなどが並んでいた。
 
自由に採っていいって話だったけど、
とうもろこしはともかく、
 
他の野菜は
熟しているかいないかの区別がつかず
おいしそうなものを見つけると
山ばぁにコレは採ってもいいか
と逐一聞いていた。
 
「ほーか。ほーか。アキはキュウリが好きなんか?」
 
「うん?」
 
「じゃあ、夕飯にこり、出してやるからな。
こりは採ってもいいけど、ちいせぇのはだめだ。」
 
「わかった。」
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