きのこうどん
わがままかもしれないけど、
先に行くよとか言いながらも
誰かそこにいてくれるって信じてたのに。
 
そっか。みんな、戻ってるんだよね。
口をとんがらせながら
山ばぁの家の坂を登って行った。
 
「はぁ…。坂、長いな。」

オレンジ色掛ってきた道で、
子どもの影が1つだけ長く伸びていた。

「ただいま!」
 
玄関庭では母さんと、
琉璃さんが青い籠に入った
野菜の区分けしながら作業に忙しそうだ。 
親戚に配る分として分けているらしい。
相当量がある。

籠の中にさっき採ったものを入れた。
 
「アキちゃん。佐智子は?」
 
琉璃さんが聞いて来た。
 
「知らない。戻っていないの?」

ボクは見ていない。

「まだ、みたい。」

「多分おっきいの探してるんだよ!探してくるね!」
 
「本当?そろそろ、日も沈んでくるから迎えに行って来てくれる?」
 
ボクはまた、長い坂を下り畑に戻った。
ちこを呼びに。

「ちこ~~帰るよ~。」
 
「ちこ~~~」
 
「ちこぉ~~~」
 
どれだけ呼んでも返事はなかった。
ボクは、すぐに母さん達に応援を求め
ちこを探した。
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