きのこうどん
何分歩いただろうか。
何回叫んだろうか。
 
やっぱり
ちこは見つからない。

「ちこ~~~。」

「ちこ~~。」

「ちこ。」
 
だんだん、呼び声も返ってこないと分かると
声が小さくなってきた。
 
「五つ葉がいけないのかな?ボクが悪いのかな。」
 
だんだん不安になってきて目の前のくねった道がさらに歪んだ。
 
「うぇぇぇ~~~」
 
「うぇぇぇ~~~~ん。」
 
どこかで、誰かが泣いている声が聞こえる。
 
「うぇぇぇぇぇ~~~~ん。」

「ちこ?」
 
そうだ。多分、ちこだ。
 
「ち、こ~~~~!!」
 
ボクは喉がかれるんじゃないかってくらい
大きな声で泣き声のする方に向かって叫んでいた。

「おか~~~さ~~~ん。」
 
「おか~~~さ~~~ん。」

泣いている子はちこだった。
 
「ちこ~~~。」
 
ちこは泣きながら畑の真ん中にいた。
 
「ちこ。」
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