きのこうどん
「えぐっ。えぐっ。」
 
涙や鼻水で覆われた顔をしていた女の子。
 
ボクを見つけたちこは腕で涙を豪快に拭いた。
 
それでも、 呼吸と涙と両方に忙しそうで
ボクは自分の服で彼女の顔を拭いた。
 
「ちこ、こっち来たらダメじゃない!帰ろ?」

すると、彼女はまだ乾いていない瞳と
汚れた鼻をこっちに向け言った。
 
「…帰り道、分かるの?」
 
「…多分。」
 
考えてなかった。
よくよく考えれば、
ボクもこの土地、初めてだった。
 
ここまで来る道もよく覚えてない。
 
でも、こう言ったんだ。
 
「大丈夫だよ。この道の逆をいけばいいんだ!」
 
半分嘘で、半分ホント。
何とかなるって。何とか。
 
彼女を探すのに
必死になりすぎていて
順路は適当。
 
でも、ただただ
目の前にある道を
通り越していただけだったから
戻れる、大丈夫だって思ってたんだ。
 
ボクは通って来たであろう道を歩き
ちこは、ボクの後についてきた。
 
「ほら、ここ見覚えあるでしょ!」
 
そう言いボクは彼女を安心させようとした。
 
「ここさ、山ばぁの畑!」
 
実際は、山ばぁの畑にそっくりな別の人の畑だった。
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