きのこうどん
まだ、8月の半ばだったから喉が渇く。
その上、後先考えず動き回っていたのだから
当然と言えば当然のことで、
水分補給のために昼間持っていた
残した水筒をなぜ今持っていないのだろうと後悔した。
 
今頃、あの水は家で捨てられ
容器は奇麗に洗われていることだろう。
 
「あ、これ100円。安っ!!」
 
ちこがそう言ったけど
お金はなかった。
100円と言う硬貨が途方もない金額に
思えて仕方がなかった。
 
ウォ・・・ン
ウォ・・・ン
 
って無駄に大きな機械音をたてて
自動販売機は作動していた。

ボクらは販売機の元に近づいた。
 
「ちこ、ちょっと待ってて」
 
ボクは自動販売機の下をのぞきこみ
お金がないかを探した。
 
「アキト君、何してるの?」
 
「うん。前に、テレビでやってたんっだ。
ここにお金が落ちてるって!」
 
でも、あたりは暗くその上、機械はボクの視界を遮る。
仕方なしに手を伸ばし探った。

「冷っ。」
 
隣に赤く錆びた鉄のごみ箱が置いてあり山のように空き缶が詰められているのが見えた。
 
多分、雨水だろうそこから汚い汁がこぼれていて地面が濡れているのだろう。
 
自動販売機周辺の土は真っ黒になっていて
湿気を帯びている。
 
自動販売機の下にあるものは
どれもこれも、ドロドロしていて、
お金らしい感触はない。
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