きのこうどん
そう言い彼女は発泡スチロールを指差した。
 
「うん。」
 
ボクらは手を放し僕は手を洗った。ついでに、さっき拾ったお金も。
 
おなかあたりで手を拭き
ボクは彼女の方を振り返ると
手を後ろで交差させて彼女は俯いていた。
その姿がまるで泣いているように見え、
なんだか悲しい。
 
「ちこ、大丈夫?」
 
すると、彼女は頭をあげてボクに笑顔で言うんだ。
 
「大丈夫。」
 
って。
そのときの彼女の顔はとっても暖かかった。
 
「手、つなげるよ?」
 
「うん。大丈夫。」
 
そう言って彼女は僕の方を見た。
彼女は暗い所が嫌いだ。
けど、ずっと手をつないでいたあの子は。
 
本当は自分が不安だったからじゃなくて
ボクが、ずっと不安そうな顔していたから
ボクのことを守ろうとしてくれたのかもしれない。
 
なんとなくだけど、彼女の姿を見ているとそう感じた。
 
「…ん?」
 
彼女の後ろには石のブロッックでつくられた
小さな建物があることに気がついた。
大人4人くらいは入れそうなスペースだ。
 
「ねぇ、ちこの後ろにあるのってバス停?」
 
ちこが振り返りそのバス停を見て動きが止まった。
 
「…多分。」
< 67 / 92 >

この作品をシェア

pagetop