きのこうどん
すぐにちこの母親である琉璃さんに電話がつながった。
 
「もう電話が切れそうなの。」
 
その一言にはっとした琉璃さんはボクに訪ねた。
 
「今、どこにいるの?」
 
ようやく、ボクの言いたいことが言える。
ほとんど母さんがしゃべっていて残りの時間が分からない。
 
「ひこさんやまってバス停。」
 
「ひこさんやま?」
 
琉璃さんが聞き返す。
 
「ひこさん?」
 
琉璃さんはピンと来ていない感じだった。そんな大人の言動がボクを不安にさせた。 
 
「うんひこさん。やまびこのびこに数字のさん。」
 
ボクの読み間違いなんだろうか。もしかしたら帰れないかもしれない。
 
「他に目印ないの?」
 
そう言われたボクは目の前にあった水のことを言った。
 
「水を汲む場所が目の前にある。工事みたいな…ブッ…明かりが。」
 
―ツーツーツー―
 
切れた。
 
ボクはしばらく受話器を持ち立ち尽くした。
伝わったのか。伝わらなかったのか。

受話器を置いたボクにちこが首をかしげながら尋ねた。
 
「来るって?」
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