僕とキミと死ぬ覚悟





「…今日はわたしのほうが早かったね」



屋上の扉を開けると長い髪がいつもの場所で揺れていた。


ハルは振り向くとニコッと笑顔を見せる。

不覚にも、泣きそうになってしまった。


学校で僕にむかって笑顔を向けてくれる人なんて誰もいない。


それに、さっきまであんなふうに扱われていた僕に、

こんないい子そうな、それでいて可愛いハルが、

僕に対して笑顔を見せてくれている。


今まで堪えていた何かが、

全部…溢れ出してしまいそうで。


でも、こんな出会って間もない、いかにもトロそうな男がいきなり泣いたりなんてしたら、この時間が消えてしまいそうで。


それが怖くて。


だから、泣くのを懸命に堪えた。




「…男の涙はカッコ悪くない、ってわたし思ってるよ」


ハルの隣に立つと、

急にそんなことを言われ。



あまりにも突然で。



だから、



「…………ッ……ッ………」


我慢しよう、って決めたばかりの涙が

ボロボロと溢れ出してしまった。








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