僕とキミと死ぬ覚悟
「…ハヤトさあ、」
「何?」
「今日って…何の日?」
「クリスマス、でしょ?」
そう言うとハルは空を見上げて言った。
「わたしにとって、今日はいつもと何も変わらない、普通の日だよ。
ただの、12月25日」
「…ハルは、だいぶロマンチックじゃないみたいだね」
僕のほうを向いたハルは目を細めて笑った。
「夢は、見ない。って決めてるからね」
「どういう…」
どういうこと?と、聞きたかった。
でも、前を向いたハルの横顔を見ていたら。
そんなこと、聞けなかった。
全てを悟ったような。
全ての悲しみを背負ったような。
そんな…横顔。
僕の立ち入ることのできない、
ハルの心の闇。
「あ…雪」
「えっ?」
上を見上げるハルに倣って僕も上を向く。
重い雲から雪がハラハラと舞っていた。
ホワイトクリスマス…
そんな文字が頭に浮かんだがそれを打ち消した。
だって僕の横にいる彼女は
絶対に、そんなことを考えていないはずだから。