僕とキミと死ぬ覚悟
少し話をしよう、そう言われ病院の外のベンチに座る。
「今、ハル寝てるの。
もうすぐ起きると思うからそしたら会ってあげてね。」
「はい。」
そこから、少し無言の時間が流れた。
お姉さんは、自販機で買ったカフェオレを両手で持ち、少し疲れた顔をしていた。
横顔が、ハルにものすごく似ている。
「ハヤトくんはあの子からどこまで聞いてる?」
「余命の話…までです。」
「そう。それでもあの子に会いに来てくれてるのね。」
「僕は、ハルに救われたから。」
お姉さんは僕のほうを向いて優しく笑った。
「もうすぐ宣告された余命の時間になる。
けど、それ以上生きていられそうなの。
多分それは、ハヤトくんのおかげね。」
「いや…そんな。
僕は何もしてないです。」
「そんなことない。
きっとハルはあなたと一緒にいられるだけで、頑張れるんだと思う。」
春らしい暖かな日差しが降り注ぐ。
芝生で遊ぶ幼い子供たちの姿が、眩しかった。
「でもね、あなたが辛かったら。
もう、ハルに会いに来なくても大丈夫だからね。」
優しい笑顔を向けていたはずのお姉さんの顔が、辛そうに歪んでいた。