僕とキミと死ぬ覚悟
今日も寝てるだろうと思い、
静かにノックをしあと、そっとドアを開ける。
「…返事、してない」
中に入ると少し体を起こしたハルが仏頂面で僕を睨んでいた。
「ごめん。」
久々に起きてるハルに会えたことが嬉しくて。
自然と笑顔になる。
「体調は?」
「治療やめたからかな、最近は結構調子いいよ。
今日は、いつもよりだいぶいい。」
ハルは、治療をやめた。
今は必要最低限の治療だけ。
お姉さんから聞いた話によると、
ハルは静かに頷き、受け止めたらしい。
「ハヤト、手はー?」
「えっ?」
「いつも握ってくれてるんでしょ?」
「えっ…いや…」
「知らないと思ってた?」
悪戯っ子のように笑うハル。
「だって、寝てたから…」
「看護師さんに教えてもらったの。
それにね…」
「それに?」
「いつも寝てる時夢見てたんだけど、
途中でね、絶対に誰かが手を繋いでくれるの。
その手がね、すっごい温かくて、
ハヤトだといいなー、ってずっと思ってた。」
だから手、そう言って手を差し出したハルの手を僕は握る。
「うん、やっぱりハヤトだ」
そう言って笑うハルを、
やっぱり、失いたくない。
そう、心の底から思った。