僕とキミと死ぬ覚悟
「最初はね、すごくすごく怖かった。
死ぬって家族の前から、友達の前からわたしがいなくなる、ってことでしょ?
怖くないわけがない。
でもね、もう死ぬって事実が曲げられないならどうなってもいいって思ったの。」
「どうなってもいい…?」
「家族と、友達を捨てたの。
悲しいっていう気持ちも、捨てた。
いつかわたしが、この世からいなくなるのなら、いっそ全て捨ててやろうって思ったの。」
僕にはハルの言葉がイマイチ、理解できなかった。
「家族がいるから、辛いの。
友達がいるから、苦しいの。
悲しいっていう気持ちがあるから、怖じ気づくの。
わたしから何もなくなってしまえば、
死ぬことなんて怖くなくなる。
…だってもう、わたしには失うものが何もないから。」
胸が締め付けられる。
ハルがいつも笑う理由が、
そんなに苦しくて辛いものだなんて思ってもみなかった。
僕はハルに質問したことを後悔していた。