僕とキミと死ぬ覚悟
「ハル、さん…は」
「ハルでいいよ。
多分、キミと同い年だし」
「え?高2?」
「うん。高2」
思わぬところで思わぬ情報を手に入れた。
長いストレートの髪の毛のせいかどこか大人っぽい雰囲気もあるハル。
でも、よくよく顔を見ればまだ幼い感じが抜け切れていない。
「キミはさ、」
「んっ!?」
まさかハルのほうから喋り出すとは思わなくて、思ってた以上に大きい声が出てしまう。
「名前…教えてくれないの?
わたし、もう帰っちゃうよ?」
そう言われ僕がまだ自分の名前を言っていなかったことに気がつく。
「あっ…僕、ハヤト…並木隼人」
「ハヤト、ね」
こうして女の子から名前を呼ばれるなんて
いつぶりだろう。
学校じゃ名前おろか、名字すら呼ばれないのに。
「ハヤト、明日は来る?」
「ん?来る…かな」
「じゃあ、また明日だね」
ばいばい、ハルはそう言って屋上から去っていった。
僕はまたしても、
どうすればいいのか分からなかった。
ハルは自由すぎる。
突然現れ、
何を話すワケでもなく、
また明日、
そう言って帰って行くなんて…
と、思いつつ僕は
明日もまた、ここでハルに会えることを楽しみにしていた。