僕とキミと死ぬ覚悟
まだ教室に残っていた人たちの
可哀想と言わんばかりの視線を受けながら吉田たちの後ろを歩く。
吉田はいつも3人で行動している。
でも、くっついてるだけの2人は吉田にかなりビビっている。
いつも吉田の顔色をうかがって。
一緒にいて楽しいのかと聞きたくなる。
今日はあと女の子も来るみたいだ。
吉田の彼女とその友達。
もう顔馴染だ。
でも彼女たちから名前を呼ばれたことは1度もない。
いつでも「おい」とか「お前」とか。
「おい、早く金出せよ」
ほら、こうやって。
ゲームセンターに着くと、
早速お金を要求され、慌てて財布を取り出す。
「めんどくさいからこのままちょうだい」
お金を出そうとした僕の手から財布を奪われる。
「目障り。今日はもう帰れよ」
吉田は僕にそう言い放つ。
「え…でも財布…」
「分かった分かった。
財布だけ返してやるよ。」
財布から札束を取り出す吉田。
「じゃ、また明日学校でな」
僕は俯いたまま、
何も言わずに歩き出した。
悔しかった。
相変わらず、何もできない自分が。
お金だけが目的なら僕をなぜ、ここに連れて来たんだ。
僕は…早くハルに会いたかったのに。
そう思うと自然に動かす足が速くなった。
日は、だいぶ暮れていた。