赤い月 弍

景時は眉根を寄せて、変化により黒くなったうさぎの大きな瞳を覗きこんだ。

『追っ手』って、知り合いなんデスカ。
ソーデスカ。
どーゆー知り合いなんデスカ?
男デスカ? 女デスカ?
表情に変化はありませんネ?
『そなた』ではないデスネ?

…あぅぅ
俺ってば、こんなに嫉妬深かったっけ?

うさぎから目を逸らした景時は、固く目を閉じ下唇を突き出して、両手で胸を押さえて唸った。


「そのように気に病まずとも良い。
妾は平気じゃ。
…そうじゃ、返してしまおう。
さすれば、このような真似もできなくなろう。
な?」


小さな手を景時の手に重ねて、少し焦ったようにうさぎが言った。

ジェラシーストームに身を委ねる景時の様子が、うさぎの中に誤解を生んだようだ。

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