赤い月 弍

景時がうさぎに拒否されないのをいいことに、手を繋いだまま理事長室に足を踏み入れると、同じく呼び出しを食らったらしい薫が、秋時と同じ顔になって言った。


「おやおやぁ?
お楽しみデシタカ?」


「…ナニ?
そのシンクロ率。」


「どうぞお掛け下さい、鬼神様。」


秋時はうさぎに上座を勧める。
勧められた席に腰を下ろしながらも、うさぎは少し居心地悪そうに眉を下げた。


「そなたはいつまでも慇懃じゃな。
もう少し砕けぬか?」


「…では『うさちゃん♪』なんてお呼びしても?」


「構わぬ。」


秋時は目を丸くした。
景時は黒いオーラを噴出した。
薫は顔を背けて笑いを堪えた。

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