赤い月 弍

「そりゃ…
オニの腕として、残る。」


「その通りじゃ、景時。」


「褒められた☆」


「だが黙れ。」


…ナニ? この上げ下げ。
ナニプレイ?


「切られた腕は闇を孕んだまま、在り続ける。
別に腕でなくとも良い。
爪の先でも、ひと欠片の肉片でも十分じゃ。
これを用いて、鬼寄せは施行される。」


うさぎ曰く京の都が華やかだった頃。

オニや妖魅が跋扈していた時代、その存在は人間にとって今より身近なものだった。
もののふに切り落とされた腕を奪い返しに来るオニの逸話が残っているなど、オニの一部を手に入れることも、さほど難しくなかったのかもしれない。

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