赤い月 弍

「無責任にもほどがあンだろ。
オニに喰われちまえ。」


「狩るほうの身にもなれって。
オニに喰われちまえ。」


景時と薫が、怒りと呆れに声を上げた。

自分の都合でその要素を持たない人間をオニにした挙げ句、トンズラこいて後始末は他力本願って、人としてどーなの?
ソイツこそオニだ。


「まぁまぁ。
まだそうと決まったワケじゃねぇだろ。
俺らでも聞いたことねぇンだし、今時オニの欠片なんて、そうそう手に入んねぇよ。」


秋時が両手を上げ、憤慨する二人を柔らかい笑顔で宥める。

年の功というヤツだろうか、やはり若い二人より冷静で理知的だ。


「とりあえず、その子供をとっ捕まえンのが一番だな。
もしも本当にうさちゃんの言う『鬼寄せ』の犠牲者だとしたら、解放してやれるかも知れねぇし。
やったヤツがいるとして、地獄見せんのはその後だ。」

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