赤い月 弍
魔法の言葉を放つのじゃ

景時の携帯が、祥子からのメールを受信した。


 今日は共に帰らぬ
 一時間後、家で待つ
 大吾を同行するがよい
 遅れるな


…うさちゃんデスヨネ?
明らかに。


「ナンナンダ?」


キッカリ一時間後、マンションに帰り着いた景時は、大吾からメットを受け取りながら上階にある自分の部屋のベランダを見上げた。


「…昨日、祥子とケンカしたから…
アイツ、鬼神サンになにか相談したのカモ。」


少し申し訳なさそうに、大吾が頭を掻いて言った。


(そんな男は捨ててしまえ、とか言ってないヨネ?
うさちゃん?)


今から部屋で起こることを想像して背中に変な汗を感じながら、景時は些か無責任に大吾を慰めることにした。

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