赤い月 弍
目線より少し高いところにある景時の膨れっ面を見て、大吾は目を丸くした。
「は?
鬼神サンは高杉が好きだろ?」
「…
ドコをどー見りゃソコに着地できンの?」
「おまえ、キモいしウザいじゃん。」
「…もう帰れ。」
「まぁまぁ、待て待て。」
大吾は、半眼で睨みながら到着したエレベーターに一人で乗り込もうとする景時の顔の前に、掌を突き出した。
「『ウザい、寄るな、むしろ死ね』ってレベルでつきまとわれてんのに、あの人、拒否ンねーじゃん。
おまえが呼ぶ度に、着いてくじゃん。
ソレって、好きだからじゃね?」
「…」