赤い月 弍
体を運ぶ四角い箱。
距離が縮まっていく。
ポンっと軽い音がして、エレベーターが停止した。
部屋のドアまであと数秒。
うさぎが待つ部屋…
「‥‥‥本当にそー思う?」
「思う。
あのウザさとキモさに耐えられたら、それは愛だ。」
恐る恐る尋ねる景時に、毒ガス噴霧器は励ますように強く頷いた。
ドアのノブを回す。
開いている…
「ただいま…」
「景時入るな。そこで待て。」
うさぎの声が聞こえた。
玄関先で足を止めた景時は、眉を下げた情けない顔で大吾を振り返った。
「お帰り、もないケド。
本当にそー思う?」
「ゴメン。
自信なくなった。」