赤い月 弍

大吾は一瞬絶句し、祥子を見下ろして、申し訳なさそうにその肩に手を置いた。


「ゴメン… 気にしてたの?」


「や、カワイイ。
祥子ちゃん、カワイイよ。
学校も、今のカンジで来ればイイのにー。」


全く空気を読めていない景時の褒め言葉に、大吾は驚いたように目を見開いた。

少しの間の後、隣に立つ景時を見た大吾の顔は、心底嫌そうに顰められていた。


「…ナニ? ソノ顔。」


「いや…
俺今、自分がイヤになるほどおまえの気持ちがわかるわ。
確かに、他のヤツにゃ見せたくねぇな。」


「へ?」


「祥子。」


とりあえず景時は無視。
大吾は俯いたままの祥子を呼んだ。

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