赤い月 弍

「本来、恋する娘は美しい。
男を思い、上気する頬。
男を見る、熱く潤んだ瞳。
多少の憎まれ口も、好ましく見える筈なのじゃ。
なのに祥子はあの面妖な化粧で、恋する娘特有の美しさを隠してしまっておる。」


「あー。
ソレでギャルやめたンだ?」


「そうじゃ。
大吾の為に可愛くなりたいと言うのでな。
その発想が、既に可愛いではないか。
後は少しだけその思いを露呈させてやれば、男など他愛ないものじゃ。」


「…ぅわー…
女子の本音トーク、コエぇ…」


うさぎの掌で踊ってみせた大吾に、心の中でご愁傷様と手を合わせた景時は、ダイニングテーブルに突っ伏した。

< 132 / 215 >

この作品をシェア

pagetop