赤い月 弍

「あった。
景時、これを見よ。」


ハイ、強制終了。
景時の目の前に、薄い冊子が突き出された。

キューンと子犬の鳴き声の効果音がつきそうなほど、気の毒な顔をした景時が言った。


「…泣いてもイイデスカ?」


「悲しい事でもあったのなら、後で酒でも付き合おう。
だが先ず、これを見よ。」


「ハイハイ。
んー? おまじない全集?」


なんか似合わねぇモン出してきたなー、などと思いながら、景時はそのいかにも女の子らしい表紙の本を受け取り、ページをめくった。


「!」


景時の顔つきが鋭くなり、ページをめくるスピードが上がる。

それを見守るうさぎにも、笑みは見られない。

< 134 / 215 >

この作品をシェア

pagetop