赤い月 弍

だが間違いなく、深く学ぶこともなく危険性を理解することもなく、呪術をほんの少し齧っただけのバカが、得意気に書いたモノに違いない。


「ちょ… コレ、貰ってイイ?
ジジィに見せて来るわ。
とりあえず発禁かけなきゃヤベぇ。」


「止められるのか?
既に多くが、何もわかっておらぬ娘らの手に渡っておるぞ。
それに、そなたの寺から出たものだとは思えぬが。」


「ウチには、ここまでのバカはいねぇよ。
薫が上限だから。」


薫が聞いたら湯気を出して怒りそうなことを、景時は引き締まった真顔で言ってのけた。


「発禁くらいは軽いと思う。
ジジィのコネ、半端ねぇから。
もう出ちまった分は… なんか対策考えねぇと。」


「いつの時代も、寺社は権力を持っておるのじゃな。
では、そなたに任せる。」

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