赤い月 弍

「グ…ガアァァァァァ!」


既に目の前のオニを縛鎖で絡め取っていた景時は、うさぎに迫るオニに向かって…


「飛斬!」


ギィン!

金属がぶつかり合うような音がして、派手に火花が散った。

瞬間移動でもしたかのようにそこに現れたうさぎが、景時が放った雷光でできた刃を華奢な手で掴んだのだ。

その手に灯る青い炎に焼かれるように、刃が消滅する。


「うさぎ!!」


「飛び道具は使うな。
小鞠に当たる。」


景時の悲鳴に応える、いつもと変わらぬ涼しげな声。
うさぎを傷つけてしまったわけではないようだ。

ホっと息を吐くと、景時はうさぎの言葉の中に気になる点を見つけた。


「小鞠ちゃん?」


「見ろ。
今なら見える。」


短い応えを残したうさぎは目の前から消え、再び二体のオニの間に舞い降りた。


「浄化!」


絡め取ったオニが消え、広がった景時の視界に映ったのは…

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